6/19/2012

【book review】憂鬱たち&日々のもろもろ

先日読んだ本のレヴューです。金原ひとみ、実は初めて読みました。
表紙が大変美しく、ちょうどめちゃくちゃ憂鬱な気分だったので、思わず買ってしまいました。

(あらすじ)
最近精神科への通院のタイミングを失い続けている主人公神田憂(鬱病もち)が、何度も何度も精神科に行く努力をするのに、いつまで経ってもたどり着けない話を集めた短編集。
しかも、彼女の努力はあらゆる登場人物に姿を変えて現れる、カイズさん(さえない中年男性)、ウツイくん(恐らく加瀬亮系もっさり男子)にいつも邪魔される。
彼らの存在が、神田憂の猛スピードで展開する妄想を引き起こし、妄想なんだか現実なんだか分からなくなるうち、彼女は結局今日も精神科へ行きそびれるのである。

(感想)
とにかくハイスピードで淡々とした文章でとても素面では他人に言えないような精神分裂的妄想が展開するので、耐えられない人には耐えられない話だと思う。
でも、人間の感情とか、理性で説明できない想像とかは、まさしくこんな感じなのではないだろうかと思った。
ところどころ、ハッとするようなフレーズも登場し、憂鬱とお友達であることを自覚する人間にとってはかえって楽しくなってしまう本だと思う。
彼女と綿矢りさが一躍有名になってからもうしばらく経ちますが、やっぱり才能がとがってて、面白いです。


(日常)
最近、仕事のできる人とは、とよく考えます。
自分のことはさておいて、日々周りを観察します。
まず、本質を押さえている。
それでありながら、押さえておかねばならないところについてはある程度細かくチェックしている。
周りに「この人と仕事すると、メリットがある」と思わせて、自然に助けてもらえるような環境を作っている。
このあたりが重要なのかなあ、と今の時点では思います。
もちろん、先生?になってくれている先輩からの入れ知恵もありますが、言葉で聞いた入れ知恵が、少しずつ実感として理解できるようになっています。
実は、ビジネス関連書があまり好きではないので読まないのですが、周りを観察するだけで勉強になります。

自分個人はまだまだだんご虫のような存在なので、
責任感もってやってます!考えてやってます!意欲あります!
というアピールをすることに、まずは力を注いでいる毎日です。

今日はこれでおしまい。

6/04/2012

【cinema review】ミッドナイト・イン・パリ

midnightinparis_1.jpgミッドナイト・イン・パリ!!!









先日から、この鮮やかなゴッホ調の宣伝ポスターに惹かれ、気になっていたので見てきました。

ついてきてくれたのは、夏からフランスに哲学を学びに行くE女史。なんとなく疲れた心もパリの街並みでも見れば晴れるような気がしてBunkamuraへ。

(ちなみにBunkamuraで初めて映画を観たのですが、それこそお洒落っぽくしている、黒ぶち眼鏡に半ズボンな彼氏と渋谷よりも六本木ヒルズにいそうなオーラのあるお嬢さんのカップルがコピーしたみたいに3組位映画館にいて面白かった。)

ウディ・アレン監督の映画も最近のものを一つ知っているくらいでしたが、ヨーロッパっぽいアメリカ映画を撮られている印象。

(あらすじ)

婚約者イネズとその両親(お金持ち)とアメリカから観光にやってきたギル。
かねてから1920年代のパリに猛烈な憧れを抱くギルは、原作のある映画脚本を作るつまらない仕事をやめて、美しいパリに移り住んで小説を書くことを夢想している。
しかし、そんな彼と「パリは観光するところ!住むならリゾートがいいし、アメリカからは出たくない!」なイネズ(そして彼女の両親とも)の意見はことごとく食い違っていて、彼らとの旅行もいまいち楽しくない。
そんなある夜、ギルは一人でパリの街を散策することに。午前0時の鐘の音とともに、どこからかやってきたクラシック・カーに乗ることになったギルは、なんと1920年代のパリにタイムスリップしてしまう!!
社交クラブに行けばフィッツジェラルド夫妻やヘミングウェイに出会い、モンマルトルを歩けばピカソやマティスが創作活動をしていて、静かなバーにはダリもマン・レイもいる!!!
すっかりはまってしまったギルは、夜な夜なタイムスリップを繰り返し、回顧主義の男を主人公にした自らの小説を批評してもらいながら、必死で書き直し始める。
さらには、当時のアーティストや作家たちを虜にしていたアドリアナに恋したことで、タイムスリップ先でロマンスも始まってしまう・・・・


(感想)
映画が終わったあと、静かなE女史に「どうでした?」と質問したところ、「アメリカ人が撮ったフランスを舞台にした映画だね」と極めて冷静な反応。
確かに、アメリカ人ならみんな知ってる人たちもやったら出てくるし、「パリ!!すてき!!!あこがれ!!!!」という雰囲気がびんびんにでていて、映画の中にナチュラルにパリが織り込まれている(気がする)生粋のフランス映画とは異なるかと。

でもでも、アメリカ流の素直なロマンチックさが一般大衆にも幅広く受ける感じで、娯楽映画としてはなかなかの一品なのでは、と思いました。

今日はこのへんで。