読みました。一気に!
村上春樹がかなり現代に寄り添って、いまの時代の普通のひとに寄り添って書いてるなぁと思いました。
端的にいうと、主人公の多崎つくるくんが、高校時代のかけがえのない友人グループから突如として追放された"歴史"、または傷跡を、十六年たってからおそるおそる紐解いていくお話。
不思議な偶然や、謎めいた大学の下級生や、年上の彼女、そして時の流れに導かれて、つくるくんは真実に迫って行きます。
誰もが既視感を感じるような、人が人生を重ねて、何かが永遠に失われていくエピソードが、今までになくわかりやすい例を持って示されていたと思います。
今回は、レクサスだとか、早稲田だとか、名古屋のなんとかかんとかとか、固有名詞や特定の地名が多いことも面白く感じました。
例によって、中流から上流階級の話が多いね。ところで、名古屋ではどんな評判なのか気になる。
わたしにも、かけがえのない、密度を持った高校時代、大学時代の友人たちがいるし、(彼らのほとんどはいまも近いところにいるけれど、たしかに、あの密度は失われている) なんだかよくわからないけど運命かなにかで思ってもない仕事についてなんとなく働いているし、好きな人をめぐる嫉妬やなんやかやもあるし、きらきらしていた憧れの人がある日輝いてみえなくなることも、誰かに憧れられていた自分があー、さえなくなってるなということもあるし、たまに大どんでん返しもあるし、
とにかく既視感。
ふしぎと、つくるくんを通して内省的になれるお話でした。
さらりと読めつつ、大事にかみしめたくなる本でした。
4/30/2013
12/30/2012
【book review】村上春樹 遠い太鼓
ひさびさの投稿。
読んだ本の覚書
四十路を迎えることに焦燥感を感じた筆者の3年にわたるヨーロッパ(主にギリシャ、イタリアでの)
生活記
要所要所にはっとするような文章あり、愉快なエピソードあり
気軽に読める一品
イタリアは良くも悪くも、とにかく印象に残るとのこと
春樹さんにとってスイスやオーストリーは楽しくなかったみたい
スイス大好きな私は、楽観主義ではないのかもしれない
読んだ本の覚書
四十路を迎えることに焦燥感を感じた筆者の3年にわたるヨーロッパ(主にギリシャ、イタリアでの)
生活記
要所要所にはっとするような文章あり、愉快なエピソードあり
気軽に読める一品
イタリアは良くも悪くも、とにかく印象に残るとのこと
春樹さんにとってスイスやオーストリーは楽しくなかったみたい
スイス大好きな私は、楽観主義ではないのかもしれない
6/19/2012
【book review】憂鬱たち&日々のもろもろ
先日読んだ本のレヴューです。金原ひとみ、実は初めて読みました。
表紙が大変美しく、ちょうどめちゃくちゃ憂鬱な気分だったので、思わず買ってしまいました。
(あらすじ)
最近精神科への通院のタイミングを失い続けている主人公神田憂(鬱病もち)が、何度も何度も精神科に行く努力をするのに、いつまで経ってもたどり着けない話を集めた短編集。
しかも、彼女の努力はあらゆる登場人物に姿を変えて現れる、カイズさん(さえない中年男性)、ウツイくん(恐らく加瀬亮系もっさり男子)にいつも邪魔される。
彼らの存在が、神田憂の猛スピードで展開する妄想を引き起こし、妄想なんだか現実なんだか分からなくなるうち、彼女は結局今日も精神科へ行きそびれるのである。
(感想)
とにかくハイスピードで淡々とした文章でとても素面では他人に言えないような精神分裂的妄想が展開するので、耐えられない人には耐えられない話だと思う。
でも、人間の感情とか、理性で説明できない想像とかは、まさしくこんな感じなのではないだろうかと思った。
ところどころ、ハッとするようなフレーズも登場し、憂鬱とお友達であることを自覚する人間にとってはかえって楽しくなってしまう本だと思う。
彼女と綿矢りさが一躍有名になってからもうしばらく経ちますが、やっぱり才能がとがってて、面白いです。
(日常)
最近、仕事のできる人とは、とよく考えます。
自分のことはさておいて、日々周りを観察します。
まず、本質を押さえている。
それでありながら、押さえておかねばならないところについてはある程度細かくチェックしている。
周りに「この人と仕事すると、メリットがある」と思わせて、自然に助けてもらえるような環境を作っている。
このあたりが重要なのかなあ、と今の時点では思います。
もちろん、先生?になってくれている先輩からの入れ知恵もありますが、言葉で聞いた入れ知恵が、少しずつ実感として理解できるようになっています。
実は、ビジネス関連書があまり好きではないので読まないのですが、周りを観察するだけで勉強になります。
自分個人はまだまだだんご虫のような存在なので、
責任感もってやってます!考えてやってます!意欲あります!
というアピールをすることに、まずは力を注いでいる毎日です。
今日はこれでおしまい。
表紙が大変美しく、ちょうどめちゃくちゃ憂鬱な気分だったので、思わず買ってしまいました。
(あらすじ)
最近精神科への通院のタイミングを失い続けている主人公神田憂(鬱病もち)が、何度も何度も精神科に行く努力をするのに、いつまで経ってもたどり着けない話を集めた短編集。
しかも、彼女の努力はあらゆる登場人物に姿を変えて現れる、カイズさん(さえない中年男性)、ウツイくん(恐らく加瀬亮系もっさり男子)にいつも邪魔される。
彼らの存在が、神田憂の猛スピードで展開する妄想を引き起こし、妄想なんだか現実なんだか分からなくなるうち、彼女は結局今日も精神科へ行きそびれるのである。
(感想)
とにかくハイスピードで淡々とした文章でとても素面では他人に言えないような精神分裂的妄想が展開するので、耐えられない人には耐えられない話だと思う。
でも、人間の感情とか、理性で説明できない想像とかは、まさしくこんな感じなのではないだろうかと思った。
ところどころ、ハッとするようなフレーズも登場し、憂鬱とお友達であることを自覚する人間にとってはかえって楽しくなってしまう本だと思う。
彼女と綿矢りさが一躍有名になってからもうしばらく経ちますが、やっぱり才能がとがってて、面白いです。
(日常)
最近、仕事のできる人とは、とよく考えます。
自分のことはさておいて、日々周りを観察します。
まず、本質を押さえている。
それでありながら、押さえておかねばならないところについてはある程度細かくチェックしている。
周りに「この人と仕事すると、メリットがある」と思わせて、自然に助けてもらえるような環境を作っている。
このあたりが重要なのかなあ、と今の時点では思います。
もちろん、先生?になってくれている先輩からの入れ知恵もありますが、言葉で聞いた入れ知恵が、少しずつ実感として理解できるようになっています。
実は、ビジネス関連書があまり好きではないので読まないのですが、周りを観察するだけで勉強になります。
自分個人はまだまだだんご虫のような存在なので、
責任感もってやってます!考えてやってます!意欲あります!
というアピールをすることに、まずは力を注いでいる毎日です。
今日はこれでおしまい。
5/12/2012
【book review】三浦しをん きみはポラリス
本のレビュー。
今日は、三浦しをんの「きみはポラリス」です。
三浦しをんは最近になってぽつぽつ読み始めました。
いまどきあんまり読めない古風さのある丁寧な文体と、漫画ちっくなキャラ立ちが徹底されつつ、適度な複雑さが味わえて、読みやすい。
この本は恋愛について本気だして考えてみた短編集。あわ~い少年愛とBLの中間色の2本の小説に挟まれて(笑)いろんなテーマで、さまざまな角度から、ストーリーがつづられています。
謎の多い彼氏とのハチャメチャだけど夢と愛たっぷりに生きるロマンチックな話「森を歩く」、
貧乏で結婚する予定立てられないし同居中の彼氏への不満もたくさんある主人公が、ちょっと妙な遠回りをしつつふたりで生きることを考えていく「優雅な生活」が好きでした。
「骨片」もよかったけど少しさみしかったかな。
小粒でもぴりりと辛い小説が多いので、一風変わった恋愛小説が読みたい方にお勧めしたいです。ひねくれ者でも素直に読めます。
(以降、勝手な意見)著者はエッセイからも伺える通り、BLばっちこいな方であるため、良く「なんとはなしBL」を書かれます。が、どうやら愛がありすぎて(そして、恐らく敬愛する作家さんなどもたくさんいらっしゃるのでは)BL系のお話になるとどうにも他の作品に見られるような勢いが若干なくなる気がします。好きだからこそ本領発揮できなかったり、ついつい好きなシチュエーションばかり書いてしまう、なんてことがあるのですかね。
今日はこのへんで。
今日は、三浦しをんの「きみはポラリス」です。
三浦しをんは最近になってぽつぽつ読み始めました。
いまどきあんまり読めない古風さのある丁寧な文体と、漫画ちっくなキャラ立ちが徹底されつつ、適度な複雑さが味わえて、読みやすい。
この本は恋愛について本気だして考えてみた短編集。あわ~い少年愛とBLの中間色の2本の小説に挟まれて(笑)いろんなテーマで、さまざまな角度から、ストーリーがつづられています。
謎の多い彼氏とのハチャメチャだけど夢と愛たっぷりに生きるロマンチックな話「森を歩く」、
貧乏で結婚する予定立てられないし同居中の彼氏への不満もたくさんある主人公が、ちょっと妙な遠回りをしつつふたりで生きることを考えていく「優雅な生活」が好きでした。
「骨片」もよかったけど少しさみしかったかな。
小粒でもぴりりと辛い小説が多いので、一風変わった恋愛小説が読みたい方にお勧めしたいです。ひねくれ者でも素直に読めます。
(以降、勝手な意見)著者はエッセイからも伺える通り、BLばっちこいな方であるため、良く「なんとはなしBL」を書かれます。が、どうやら愛がありすぎて(そして、恐らく敬愛する作家さんなどもたくさんいらっしゃるのでは)BL系のお話になるとどうにも他の作品に見られるような勢いが若干なくなる気がします。好きだからこそ本領発揮できなかったり、ついつい好きなシチュエーションばかり書いてしまう、なんてことがあるのですかね。
今日はこのへんで。
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